2021年卒の学生の就職活動がいよいよ本格的に始まりますね。
就職情報サイトの「リクナビ」を運営しているリクルートキャリアが学生の内定辞退率の予測データ「内定辞退予測」を企業に販売していたことが問題となっています。
リクルートキャリアによると、2018年3月以降に「内定辞退予測」を38社が購入し、利用していたそうです。
今回、問題となった内定辞退予測とはどんなものなのか?
そして、それを購入した企業はどこなのか?
調査したので、紹介していきます。
内定辞退予測とは何か
内定辞退予測とは一体どういったシステムなのでしょうか?

就活のインフラとも言える情報サイト「リクナビ」が、学生の閲覧履歴をもとに内定を辞退する確率を予測し、本人に十分説明しないまま企業に売っていた。運営するリクルートキャリアは、政府からの指摘を受けて販売をとめたが、学生からは怒りの声があがる。
リクナビは、年に80万人の就活生と3万超の企業が使う最大手。その閲覧履歴を使って2018年3月から始めたサービス「リクナビDMPフォロー」が問題になった。
仕組みはこうだ。
企業は、採用活動で向き合っている就活生の内定辞退を減らしたい。前年の辞退者の名簿を渡すと、リクナビは、その一人一人が、いつ、どの企業をどれほど閲覧していたか、人工知能(AI)で分析する。内定後も他の企業を閲覧していたか、といった具合だ。
実績を踏まえ、その年の就活生が辞退する確率を1人ごとに5段階で予測。こうした情報を1年あたり400万~500万円で大企業など38社に販売していた。対象の就活生の数は「非公表」という。
就活生にリクナビに登録してもらう際の規約には履歴などの利用について「個人情報を使用」「採用活動補助のための利用企業などへの情報・提供」といった記載があり、「故事情報保護法に求められる同意は得ていた」とする。
しかし、就活生への説明が不明瞭、との指摘を政府の個人情報保護委員会から受け、7月末でサービスを一時停止した。「個人情報がどのように企業に提供されていくのか、わかりやすい表現や説明方法を検討する」という。
サービスの狙いは「辞退する可能性が高い就活生を引き留めるための手段」。採用の合否には使わないと合意した企業にのみ売ってきた、という。
引用:朝日新聞DIGITAL
内定辞退予測の購入企業は?
2019年8月23日時点で、以下の14社が購入企業であることが判明しています。
- トヨタ自動車
- ホンダ
- 大和総研HD
- YKKグループ
- レオパレス21
- さらにりそなHD
- アフラック生命保険
- NTTコムウェア
- NTTファシリティーズ
- 三菱電機
- 京セラ
- 東京エレクトロン
- リクルートホールディングス(HD)
- リクルートキャリア
このリストを見ると、どの企業も名前の知れた日本を代表する大手企業がズラリと並んでいることがわかります。
14社しか判明していないということは、まだ3分の1程度に留まっており、今後も購入・利用していた企業が報道などを通じて、続々と明らかになってくると予想できますね。
1社あたり400-500万円ということを考えると、38社で最大1.9億円もの売上を獲得していることになります。
今回ニュースが公にならなければ、もっと多くの企業が購入していた可能性もありますね。
人工知能(AI)はとても素晴らしい技術で、世の中を便利にするシステムですが、一方で、今回のように誰かが不利益を被るケースも出てきています。
最悪の場合は犯罪などに悪用されることも増えてくるかもしれません。
内定辞退予測に対する世間の反応
リクナビの話についてすごい違和感があるのだ。内定辞退予測の話なのだ。「優秀だけど辞退可能性が高い学生」が来たとして、なんでその人を落とそうという話になるのだ?例え来てくれる可能性が低くても、優秀な人には内定出すべきだと思うのだ。無料で引けるくじは確率が低くても引くべきなのだ。
— GAFAのアライさん (@gafa_arai) August 19, 2019
リクナビの内定辞退予測AIが話題ですが、経営をしていると「こいつそろそろ辞めそうやな」って社員て何となく分かりますよね。逆に「そろそろ辞めようかな」と思ってるのに経営者から引き止めアクションとか、唐突なディナーの誘いが入らない場合、自分がその程度の人材なんだと受け止めたほうが良い
— 事業家bot (@Midnight_Tokyo) August 17, 2019
https://twitter.com/hotoke_nagasan/status/1164570133773164545
具体例として退学予測や内定辞退予測システムを出して、管理化を擁護してるのかもしれないが
なんかズレてる気もするしどっちにしろクソでしかないのでは???と思う
世の中が良くなるならどんな方法を取ってもいいわけじゃなかろう pic.twitter.com/06ypDItNU6— アフガン航空相模 (@AviationSagami) August 21, 2019
内定辞退予測のデータ買うぐらいなら、若手の転職・退職を止めるためのデータ分析に金かければ良いのに。さすが弊社!
— NTTコムウェア社員 (@NTT12674945) August 19, 2019
世間の反応としては、やはり否定的な意見が多いですね。
まとめ
内定辞退予測は、あくまでも”予測”です。
予測の精度が100%であるはずがないですよね。
実際に内定を辞退する考えが一切ない学生が、誤った予測により落とされることが必ず発生することが考えられますね。
ただ、着目したいのは内定辞退予測を購入しているのは、ほとんどが大手企業だということです。
人気のありそうな企業が購入している背景には、どれだけの大手企業でも学生の内定辞退に悩んでいるということが見え隠れしています。
たしかに企業側も優秀な学生を集めるために、高額な経費を使って全国で企業説明会やセミナーなどを開催しているわけです。
内定を辞退されると、その穴を埋めるために、採用を追加しなければなりません。そこで、さらに経費が発生してしまうことを出来る限り避けたいという想いがあるのでしょうね。
ただし、企業側も内定辞退を避けるために、こういった機械的なツールに頼らず「待遇面」や「企業好感度」などの改善に努めてもいいのではないでしょうか?
この内定辞退予測の登場によって、公表された企業へのエントリーを避けるなど、少なくとも今後の就職活動に大きな影響を与えることは間違いなさそうです。







